お帰り私の宝物

又苦痛現実を叩き付けられて眼が覚めた。

体は迷路をさ迷っているようで、私の廻りでは別の世界の時間だけが過ぎて行く。


やっと息子を火葬して家へ一緒に家へ帰れる。

慌ただしく家事を終わらせて身支度…


私は生まれて一度も喪服を着る事がなかった何十年も前に念の為に買っておいた喪服タグが付いたまま…

クローゼットから出した物の着る事が出来ない…どれ位ベットへ置いて呆然と眺めていただろうか、何故この喪服を息子の為に着なければならないのか、悲しくて悲しくて心が締め付けられる。


やっとの思いでタグを取り、心の中で何故何故と何度も繰り返しながら苦痛のなか何とか着替えて葬儀屋さんとの約束の時間9時半に間に合うように急いだ。


息子の柩へ入れる為大好きだった果物、ヨーグルト、野菜ジュース、私と長男からの遺書への返事と手紙、息子がとっても可愛いがってた13才で亡くなった犬ミューの写真、好きだった劇団四季のカタログと会員カード、免許証、他にも色々と資格を取ってた免許証、そして家へちゃんと帰って来られるように、家で履いてたスリッパを用意して葬儀屋へ


葬儀屋へ着いてからは、持って来たものを柩へいれてあげちゃんと家へ帰ろうねと声を掛けて足元へ揃えて挙げました。

沢山の花に囲まれて柩に花束で霊柩車へ乗せられました。

私は、霊柩車へ同行し息子と一緒に斎場へ行きましたが、一度も後ろの柩を見る事が出来ませんでした。

嫌…見たくなかったと言うのが本心です。


斎場へ着いてからは、長男と待ち合わせをしていたので待っていたのですが、なかなか来ません。

私は1人ただ母親として情けなくて悔しくて悔しくて涙が止まりません。

何故何故…あの時アパートへ言ってれば助けられた今も私と暮らしてた…後悔と母親として失格自分自身で攻めても攻めても何も変わらない。

解っているけどあの時…そう思うと次男との生活を妄想してしまっては、又涙が溢れて止まらない。


やっと長男が来て2人で次男と最後のお別れ……

全く現実が飲み込めないまま呆然と控室で待たされた。

何れ位待ったのか呼ばれて行った所には、熱に包まれた純白の人骨…息子…嘘…違う…何


渡されたのは長めの箸長男と2人で骨壺へ一緒に入れて上げて下さいと、言われるまま骨壺へ移しましたが、私は何をしてるの…全く自覚が出来ない。


少し待って渡されたのは重たい四角い骨壺の箱…

長男の車で私と長男と次男の3人で家へ向かい母さんより大きかったのにこんなに小さくなって…

家帰ろうねもう苦しまなくても悩まなくても良いからね。


家へ着いてからは私が一番時間を過ごすリビングの食卓テーブル私の横へ置いて上げました。

長男は、お線香を上げてお茶お飲んで少しして帰りました。

次男と2人の時間生活が始まります。

それでも次男の姿声は、全くありません。

どう受け止めて良いのか心の中で、何処かに居る…嫌やっぱり亡くなっている…それでも認められない私がいます。

ただ呆然と骨壺と写真を見つめているだけで時間だけが過ぎて行き気がつくと部屋も暗くなって来ている。


話さない見えない姿全く変化のない止まった温もりさえ感じない写真だけ

私には余りにも残酷な時間をこれから過ごさなければならないのかと思うと残酷過ぎて耐えられるのか…


ベットへ入って花がないから買ってこないと…可愛い綺麗なのがいいよね。

何故かフトそう思ってしまったのです。


明日から母さんは、どうして行けば良いのか耐えて行かれるのだろうか。